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2020/06/2720/06/27 自由な書体が元気の源

己書師範北口さん
闘病から笑顔取り戻す  

    鈴鹿市白子町の看護師北口美恵子さん(57)は、筆ペンで字や絵を自由に書いて自分を表現する書道、己書(おのれしょ)の師範としても活動しています。「素朴で温かみのある、ホッとする字体です。書く楽しさでワクワク感を感じ、心が沈んでいる人に元気になってもらいたい」と話しています。  己書は書き方や文字の書き順にとらわれることなく、思うがままに筆を走らせ、自分の世界観を楽しく表現する書です。2012年に元デザイナーの杉浦正さんが道場を開き、普及させています。  北口さんは42歳で乳がん、48歳で網膜剥離、50歳で心臓発作のカテーテル手術を受けるなどの大病と闘っていました。  患者を勇気づけていた持ち前の明るさと健康体を自負していましたが、病気を患ったことで自信は打ち砕かれ、同時期に家族も病を患ったことで笑顔を忘れていきました。  闘病への悩みで生活を楽しむこともできない日々が続く中、ポストに投函(とうかん)されていた己書の受講案内のチラシが目に入りました。「すごく味のある字で、心が動かされました」  好きなようにペンを走らせることに夢中になり、楽しさを感じ、自然と以前のような明るさ、笑顔を取り戻していきました。「自分と向き合え、心の不安が軽くなりました」  53歳で師範の資格を取得し、ワクワクとした気持ちが病気を治す力になるのなら広げていきたいと同町に教室『どんたのし道場』を開設。津市にも開き、活動の幅を広げていきました。  「〝どんな時も楽しい道場〟との思いを込めました。講座も幸せになればと『幸座』となっています。心を開放して笑いやポジティブ精神をつくり出せるのが己書の魅力です」  これまで縁のあった人への恩返し、感謝を込めてことしのカレンダーも作りました。市内の書店に売り込みに行き、販売されることに。「毎日見ていて、元気になるような言葉を選びました」  師範の位も上席となり、孫弟子まで広がりを見せています。「上手下手は関係なく、気持ちよく楽しかったと思ってもらえるように己書を広げていきたい」と話しています。  7月に同町のカフェ&雑貨くるりで体験会を実施予定。開催情報はウェブサイト『どんたのし道場』で検索。

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