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2022/04/0922/04/09 固い絆 師匠と弟子⑤
子ども絵画教室アトリエ・エピの森さん(阿野田町)と山田さん(和田町)
スポーツ、文化などで活動する師匠と弟子に出会いや信頼構築の秘けつなどを聞く特集『師弟の絆』。最終回は芸術創作活動などに取り組む子ども絵画教室「アトリエ エピ」の森敏子さん(73)=亀山市阿野田町=と亀山高校美術科非常勤講師の山田風雅さん(24)=同市和田町=に話を聞いてみました。
―芸術活動の指導や受講を始めたきっかけは
森 子どもの頃から絵を描くのが大好きで、当時の三重大付属亀山小学校の故小林太郎先生に師事し、描く楽しみ、喜びを教えていただきました。中高生の時は美術部で、大学は美術系ではなかったのですが、美術研究所に通い洋画を制作していました。1975年~79年ごろ、自分の子どもやその友達と自宅で、お絵描きを楽しみだしました。保護者の方から教室開設を依頼され、80年に「アトリエ エピ」を開講しました。
山田(以降山) 絵との出合いは3歳の頃、母にお願いして描いてもらっていた絵を、自分で描いてみては?と母に勧められたことです。通っていた保育園に森先生が指導にいらっしゃっていた縁もあり、「アトリエ エピ」に通ううちに、どんどん絵を描くことが好きになり、現在の創作活動につながっています。
―芸術活動の魅力は 森 自分の魂を解きほぐし解放して、ただただ作りあげていく瞬間に没頭できることと感じています。
山 自分にとって楽しくない瞬間がないことです。
―互いから見てどんな師弟ですか
森 彼は5歳からアトリエに通い出し、小学6年生まで在籍していました。幼少の頃から独特の感性にあふれていましたね。私が企画運営に携わっている現代美術の芸術祭亀山トリエンナーレに、2017年、山田さんがノミネート作家となり出展してくれました。教え子の成長を目の当たりにできた素晴らしい出来事でした。限りない創作意欲の持ち主で、作品からは自然に対する愛情と畏敬(いけい)の念が感じられます。
山 幼心に感じていたような気がしますが、近年、亀山トリエンナーレに携わるようになってから強く思うのが、とてもパワフルな方だと思っています。森先生には20年間お世話になっていますが、アートに対する情熱は今も昔も変わらず燃え上がっているように感じます。
―長年師弟関係が続く理由は
森 いつまでも私のことを「森先生」と慕ってくれる彼の優しさです。
山 20年間変わらず、私のことを見守ってくださっている森先生の愛情だと思っています。
―互いに注文を付けるとしたら
森 今のまま、制作への情熱を持ち続けてください。
山 注文とは少しずれて、自分勝手なお願いになってしまうかもしれませんが、これからも自分なりに頑張って作品制作を続けていきますので、引き続きご指導ご鞭撻(べんたつ)のほどよろしくお願いします。
―今後の活動に期待していることは
森 胸に秘めている限りない創作意欲を原点に、とにかく創り続けてほしいです。制作を通して学ぶこと、感じることは人生にとっても大切なこと。アートが人としての真実の追求の糧になれば幸せですね。
山 自分が「アトリエ エピ」に通っていたこと、亀山トリエンナーレに携わらせてもらっていることなど、森先生の活動の場が自分にとって大切な居場所になってきました。これからも自分を含め、森先生に関わるたくさんの人の寄りどころであり続けてください。