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2021/02/27事故が残した種、絵本に

鷲見さん(東員町六把野)『しあわせの種』を自費出版

 23年前に交通事故で長男拓也さんを亡くした鷲見三重子さん(67)〓東員町六把野〓が、誰も被害者や加害者にならないことを願って作った絵本『しあわせの種』を自費出版しました。
 『しあわせの種』は、市内外の小学校を巡回して披露している人形劇の脚本を、低学年向け絵本として再編したもの。拓也さんと事故が残した“種”を物語にして、事故の撲滅、社会のルールを守ることの大切さを訴えています。
 拓也さんは桑名工業高校2年だった1997年(平成9年)、部活帰りに脇見運転の自動車にはねられ亡くなりました。
 事故から3年ほどたったある日、同高生徒会から事故現場に信号機が付いたことを知らされ、「信号機の付いた理由を全校生徒に伝えたい」と申し入れがありました。
 長く失意に暮れていた三重子さんでしたが「拓也を直接知らない後輩たちが行動している。遺族の自分が何もしないわけにはいかない」と自らを奮い立たせ、2005年に命の重さを伝える全国巡回展『生命(いのち)のメッセージ展』を三重県で初開催。14年には、事件や事故で家族を亡くした遺族らによる『いのちの言葉プロジェクト』を発足し、人形劇や講演会など精力的な活動を続けています。
 三重子さんは「残念ながら事故は今もあり、子どもたちの命が奪われていくことがつらくてなりません。絵本に込めた思い、悲しみのない幸せな明日を願って活動を続けたい」と話しています。
 『しあわせの種』は県内の公立小学校367校に寄贈した他、1冊1200円(税別)で販売中。収益は『命の言葉プロジェクト』の活動費に充てられます。
 〓(76)7338鷲見さん。

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