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2023/07/0823/07/08 新後継者紹介桑員レガシー③

鋳物は日本の裾野支える誇り
日研工業の中村亮太さん

 伝統を受け継ぎながら新たな発想を盛り込み、文化やビジネスなどの分野で尽力する人を紹介する特集『桑員レガシー』をお届けします。第3回は桑名市額田の鋳造資材販売会社日研工業の中村亮太さん(33)を紹介します。
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 後継のきっかけは―
 明正中学1年の時、父が他界しました。桑名西高校、名城大学を卒業し、取引先会社のトウチュウさまに就職させていただいた1年目に、先代社長の祖父に末期がんが発覚しました。生涯現役で、亡くなる直前まで仕事一筋で頑張ってくれていた姿を近くで見ていたので、自然と継ごうと思い、2013年に戻りました。
 やりがいや苦労している点は―
 『東の川口、西の桑名』と言われるほど鋳造が盛んだった桑名ですが、現在は鋳造業者は数えるほどしか残っていません。過酷な現場作業は人手、後継者不足が深刻です。それでも、鋳物は自動車、産業機械などの骨格や土台となり、今も変わらず重要な産業の一つで、日本の裾野を支える誇りある仕事だと思っています。
 鋳物は砂粒、ごみ、気泡一つでも混入したら不良になります。砂を固める、鉄を溶かす、固まった製品をきれいにする工程、どれもがとても重要な作業ですので、全員が協力し合い連携をとって仕事をしています。なかなか不良はゼロになりませんが、お客さまと試行錯誤しながら解決できたとき、やりがいを感じます。
 工夫した点は―
 鋳物をもっと身近に、良さを感じてほしくて、自社でバーベキューの網を開発しました。クラウドファンディングでは多くの方にご支援いただき目標金額をはるかに超えました。
 今後の目標は―
 魅力発信の一環として、インターンシップ、学問と職業教育を同時に受けるデュアルシステムを導入し、桑名工業高校の生徒の受け入れやイオンモールでの鋳造体験などを積極的に展開しています。
 鋳物は奥が深く、魅力ある業界だと思っております。そんな鋳物をもっと多くの人に知ってもらい、鋳物屋さんで働きたいと思ってもらえるような魅力的な業界にしていきたいです。自分の子どもたちが、自社で働きたいと思ってくれるような楽しい職場、魅力ある業界、働きやすい環境をつくっていきたいです。
 自社は創業が1935年で鋳物用離型剤の開発からスタートしております。現在88年。まずは100年企業を目指して、桑名を魅力ある地域にするために積極的に活動していきたいです。

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