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2020/08/2220/08/22 空想の翼広げ演奏

いなべ在住 盲目のギタリスト一木さん

 なめらかな指さばきで弦をはじき、甘く切ないメロディーを奏でます。まるで見えているかのように。いなべ市北勢町阿下喜のはり・きゅう、マッサージ師一木幹男さん(69)は、病のため40歳で途中失明した盲目のギタリストです。
 北勢地域のギター愛好家が集う、桑名ギタリスト倶楽部に所属し、月2回の練習に参加しています。演奏会にもメンバーの一員としてアンサンブルに加わります。
 中学3年のとき、進行性の目の病、網膜色素変性症と診断されました。名古屋へ通院していた際に、百貨店でたまたま手にしたギターを購入。桑名の中村英二ギター教室に通い始めました。
 盲学校時代、自宅で治療院を開業したときにも演奏は安らぎのひとときでしたが、完全に見えなくなって以降、ギターから遠ざかるようになりました。
 再び情熱をよみがえらせたのは、かつて同じギター教室に通っていた近藤ナオさん(71)=桑名市下深谷部=との偶然の再会。60歳を目前に、当時の教室生らが集まって発足したのが、桑名ギタリスト倶楽部です。
 一度は手放したギター。「演奏の際に思い浮かぶストーリーや景色を、心の目で楽しみたい」。再び引き合わせてくれた仲間とともに、空想の翼を広げます。

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